The Lockers(ロッカーズ)は、1971年にアメリカで生まれたLock Danceチームです。
Lock Danceを考案したチームで、オリジネーターとして未だに世界中からリスペクトされています。
Don Campbell(ドン・キャンベル)とToni Basil(トニーバジル)により結成され、アメリカの人気番組Soul Train(ソウルトレイン)に出演したことにより全米に知られるようになります。
Lock Danceの生みの親で、Lock Danceを世界に広めた伝説的なチーム"The Lockers"について解説します。
Lock Danceについて
Lock DanceはロッカーズのリーダーDon Campbell(ドン・キャンベル)がファンキーチキンと呼ばれるニワトリを模したステップができずに、間違った踊りをしていたところから生まれたと言われています。
ファンキーチキンは1960年代から流行っていたSoul Danceのステップで、その名の通りニワトリを表現したダンスです。
よ〜くLockのポーズを見てみると、手とか肘の使い方がニワトリっぽくないですか?
音楽のRockとは違い、カギをかけるLockが名前の由来です。
メリハリのある動きから急に『カチッ』と止まるその様子が身体をLockするように見えることからその名前が付いたとされています。
上記の写真のようなポージングが代表的で、日本では中居くんが踊るダンスと言えばピンとくる方も多いと思います。
クールでかっこいい側面がある一方で、コミカルで人を笑わせるピエロのよう振り付けや衣装も特徴的です。
これもLockersが起源で、ドンキャンベルは目立ってなんぼの精神で派手な衣装や振り付けを好んでいました。
また、メンバーのMr.ペンギンはダンサーの傍ら実際にコメディアンとしても活躍しており、コミカル要素は彼の影響を受けていると言われています。
Lock Danceの詳細はLock Dance(ロックダンス)ってどんなダンス?をご覧ください。
The Lockers(ロッカーズ)について
The Lockersは1971年にDon Campbell(ドン・キャンベル)と、彼のガールフレンドでメンバーでもあったToni Basil(トニーバジル)により結成され、初期の頃は、THE Campbell lock Dancers(キャンベルロックダンサーズ)と名乗っていました。
ソウルトレインダンサーとして活躍していたDon Campbell(ドン・キャンベル)は、制作側にしっかりギャラを払うように要求し、そらが却下され番組を降ろされたというエピソードを残しています。
その後、同じ理由で出演を外された他のダンサーを募りTHE Campbell lock Dancers(キャンベルロックダンサーズ)改め、The Lockersと名乗り正式に活動することになります。
当時のSoul Train出演のギャラは無く、参加者にフライドチキンが配られるだけでした。
その頃、既に振付師として知名度のあったToni Basil(トニーバジル)がマネジメントを担い、Saturday Night Live(サタデー・ナイト・ライブ 1975年から現在も続くアメリカの人気深夜番組)の出演、The Tonight Show(ザ・トゥナイト・ショー)の出演を果たします。
Soul Trainにも復活し、彼らの知名度は全米に広がります。
ストリートダンスの礎を築いたのは間違いなくThe Lockersです。
ポップのオリジネーターのELECTRIC BOOGALOOSや、ブレイクダンスのオリジネーターRock Steady Crewのメンバーも、ソウルトレインのThe Lockersを観てダンスを始めたと語っています。
しかし1980年代に入ると、Lock Danceの他にさまざまなジャンルのダンスが登場し、Lock Danceの人気は徐々に落ちていきThe Lockersは解散してしまいます。
The Lockers解散後は個々に活躍しており、チームとしての活動はありませんでした。
メンバー
The Lockersのメンバーは、
- ドン・キャンベル(Don Campbel)
- トニー・バジル(Toni Basil)
- Mr.ペンギン(Fred Mr.Pienguin Berry)
- フルーキールーク(Fruky Luke)
- スリム・ザ・ロボット(Bill Slim Robot Williams)
- シャバドゥ(Adolfo Shabba Doo Higgins)
この6人が創設期からのメンバーと言われています。
後に、
- グレッグキャンベルロックジュニア(GREG Campbellock Jr.)
- スクービードゥー(Jimmy “Scoo B Doo” Foster)
- ウイリアムソン(Williamson)
- トニーゴーゴー(Tony Go-Go )
上記メンバーが参加し、チームは徐々に大きくなっていきます。
日本のLock Danceに大きな影響を与えたトニーゴーゴーは後期のメンバーになります。
因みに、Toni Basil(トニーバジル)は、The Lockersを卒業した後、世界的なヒット曲『Hey Mickey』をリリースし、ダンスだけでなくアーティストとしても成功を収めます。(ゴリエのダンスの歌ですね笑)
Tha Lockers(ロッカーズ)の功績
The Lockersは数多くの功績を残しています。
1960年代~1980年代のアメリカは、黒人に対しての差別や偏見が酷かった時代です。
黒人にとって逆風の時代にテレビに出演し、ストリートダンスのパイオニアとして活躍しています。
James Brown(ジェームズブラウン)やSoul Train(ソウルトレイン)の後押しがあったにせよ、黒人の楽しみの場所を創り出したThe Lockersの功績は素晴らしいものです。
そんな彼らの功績をまとめてみました。
ストリートダンスのパイオニア
言うまでもありませんが、The Lockers(ロッカーズ)はストリートダンスのパイオニアとして活躍しました。
1960年代はソウルダンスといわれる、ソウルミュージックに合わせて踊るダンスが主流で、『ストリートダンス』と呼ばれる言葉や概念は存在しませんでした。
The Lockers(ロッカーズ)の活躍によりLock Danceが普及し、ストリートダンスと呼ばれるカテゴリーが出来上がったとされています。
彼らは今まで社会的地位や知名度が無かったダンスを世の中に広め、ストリートダンスをブラックカルチャーにまで昇華させました。
21世紀になっても、世界中でストリートダンスが踊られているのは間違いなく彼らの功績です。
黒人の希望の光
1960年代のアメリカでは黒人差別が根強く残っており、彼らに自由は殆ど無く過酷な労働を強いられていました。
黒人が犠牲になる社会問題も多く、非行に走る黒人が後を絶たず負のスパイラルに陥っていました。
公民権運動と呼ばれる、黒人の公民権(選挙権・被選挙権・公務員となれる権利)と自由を求めた運動やデモがたくさん起きていました。
そんな過酷な環境で生きていた黒人達が自分を表現する場として出会ったのが音楽とダンスだったのです。
この時代に生まれたSoul Music、Soul Dance、Lock Dance、Pop Dance、DJなどは殆ど黒人発祥のブラックカルチャーです。
彼らが世の中から受けた差別的なエネルギーを、別の形で表現したのがストリート文化です。
The LockersのメンバーのTony GoGoは、近年になってのインタビューで
好きなダンスをする時くらい楽しみたかったから
と語っており、この短い言葉の中に当時の黒人の苦しみが凝縮されているように感じました。
Lock Danceは当時の黒人の希望の光だったのです。
以上が、Lock DanceのオリジネーターThe Lockersについてのまとめでした。
しっかりと歴史を理解してカッコ良く踊り続けていきたいですね。
それでは今回はこの辺で、See you next time!!