Old Schoolとは、1970年代後半から1980年代後半にアメリカで流行ったストリートダンスの総称のことです。
Lock Dance、Pop Dance、Break Dance、Waack Danceの4つのジャンルのダンスがオールドスクールに該当し、1990年代にHipHopやHouseなどの新しいダンスのジャンル(ニュースクール)ができた時に、1970年代、80年代の少し昔のダンスを総称してOld Schoolと呼ぶようになりました。
1970年代の当時の人が、自分達の踊りをOld Schoolと認識していた訳でなく、後世になってカテゴライズされた概念になります。
英語で直訳すると『昔の学校・出身校』という意味がありますが、ダンスシーンでは『古いけどイケてる・昔っぽいけど味がある』のような意味で使われ、それが転じてオールドスクール=1970年代〜1980年代のストリートダンスという感じで広まりました。
Old Schoolは現在のストリートダンスシーンにも大きな影響を与えており、全てのジャンルの基礎的な役割になっています。
今回はOld Schoolについて掘り下げます。
歴史を知ることでダンスに活かせることがあるよ!
Old School(オールドスクール)って何?
Old Schoolは1970年代〜1980年代に流行ったストリートダンスの総称です。
Old Schoolについて深く掘り下げてみます。
Old Schoolとは?
Old Schoolは1970年代〜1980年代に流行ったストリートダンスの総称のことで、Schoolには、「学派、流派、一門」などの意味があり、古いダンスの仲間みたいな意味だと解釈しています。
ダンスシーンでは『古いけど魅力的、古いけど味がある』みたいな意味で使われることもあります。
また、Old Schoolの他に1990年代はMiddle School、その後から現在までのダンスをNew Schoolと呼んだりもしており、ダンスは時代によってカテゴライズされています。
実はOld Schoolという言葉はダンスだけで使われる訳ではありません。
1970年代とか1980年代の音楽もOld Schoolと呼ばれたりもしますし、今の20代の若い人が2000年初頭の音楽を聴いてOld Schoolだね(古いけどイケてるね)みたいな感じで使われることもあります。
オールドスクールは古いけどイカしたって意味があるんだね!
従って、音楽業界でも昔の曲をOld Schoolと呼ぶことがあります。
ダンス業界では繰り返しになりますが、Lockin'、Popin'、Breakin'、Waackin'の4つのジャンルがオールドスクールに該当します。
スニーカーで有名なVansにOld Skoolというスニーカーがあります。
ストリートカルチャーのスケボーが発祥で、『古くても良い物』という同じ意味合いで使われています。
Old School(オールドスクール)ダンスの特徴
私が個人的に感じたOld Schoolの特徴について解説します。
ブラックカルチャーの影響を色濃く受けている
Old Schoolは1960年代から1980年代頃に流行ったダンススタイルなので、ブラックカルチャーの影響を色濃く受けているように感じます。
僕がそう感じるのはOld Schoolは差別に反発する黒人の生きざまが表れているからです。最近のHipHopではそこまで感じることはありませんが、Old Schoolのダンスは黒人の信念を感じます。
例えば、ストリートダンス界に多大な影響を与えたアメリカのテレビ番組『ソウルトレイン』は、黒人の黒人による黒人の為の番組としてスタートし、演者もスタッフも黒人だけで運営していました。
奴隷として理不尽な生き方をしてきたが、自分たちの存在意義を確認し、自由に踊っていいんだ、音楽と平和を愛するんだみたいなメッセージを発信していました。司会のドンコーネリアスは番組の最後は必ず『Love Peace & Soul』で締めくくっており、Old Schoolこそ黒人の存在意義だと訴えていました。
Old Schoolはその流行った時代の影響を受けているため、黒人の魂が込められているように感じます。
Old Schoolの特徴『型』がある
Old Schoolのダンスの特徴としては、完全に私見になりますが『型』があるダンスが多いように思います。型があるということを言い換えると、ダンスにしっかりと名前と意味が込められているということです。
Old Schoolダンスの名前の由来
- Lock...体に鍵をかけるようにカチッと止まるから
- Pop...体をポップコーンのように弾くから
- Break...音楽の間奏(ブレイク)部分で踊るダンスだから
- Waack...ゲイが踊るのでwackと呼んだため(wackは奇人変人の意)
さらにダンスステップの粒度で細かくみていくと、
各ジャンルのステップの意味
Lockin'....スキーターラビットといわれるウサギを模したステップがある
Popin'....フレズノと呼ばれる1番基礎的なステップが、リスペクトの意味を込めて発祥のアメリカフレズノ地区からきている
Breakin'....アップロックと呼ばれるお前をぶっ潰すという意味のステップがある
上記はほんの一例に過ぎませんが、Old Schoolのダンスやステップには型と意味がある場合が多いです。
理由として考えられるのは、1970年代はダンスのお手本もないし、スマホやネットもありません。そのためダンスを踊るときは何かを真似る、何かを身体で表現することが多く、逆説的ですが意味のないことからダンスやステップが生まれにくかったのです。
他の特徴的なステップを紹介すると、『ウォーターゲート』と呼ばれるステップがあります。
これはアメリカのウォーターゲート事件が由来で『主犯のニクソン大統領を蹴飛ばすようなステップ』です。黒人達が汚職をしたニクソン大統領を壮大に足で蹴っ飛ばすことが由来で、当時の社会を風刺したダンスステップなのです。
このような感じで、Old Schoolのダンスには型と意味があるのが特徴だと私は感じています。
Old Schoolがファッションに与えた影響
ダンサーが頻繁に着用しているダボダボの洋服と、adidasのジャージ、KANGOLの帽子は1970年代〜1980年代に流行ったファッションです。
影響力の強かったHipHop系のミュージシャンRun-D.M.Cが着用し、若者に一気に広がりました。1984年にRun-D.M.CによりリリースされたIt's like thatのPVは世の中に強烈なインパクトを与えます。
Run-D.M.C It's like that
adidasのスーパースターに紐を通さない紐なしのスニーカー、adidasのジャージ、KANGOLの帽子、黄金のネックレスなどはRun-D.M.Cが確立し流行らせたとされています。
特にYouTubeで貼り付けているIt's like thatは当時の若者に影響を与え、ストリートダンス(主にOld School)の普及に貢献したとされています。
adidasのスーパースターはバッシュとして販売された為バスケ選手が履く靴でした。
Run-D.M.Cはその靴に紐を通さない過激な履き方で、当時の若者から絶大な人気を獲得します。
1986年、Run-D.M.CはMy adidasという曲を発表し、これがきっかけでadidasと専属のスポンサー契約を結びます。
adidasはスポーツ選手を中心に商品を販売していましたが、Run-D.M.Cの活躍を機に一般の人々の普段着として認知されるようになり、Old School時代のファッションを代表するブランドに成長したのです。
Old School時代の代表的な音楽
Old School時代の音楽は名曲ばかりで選びにくいのですが、3つだけご紹介します。
Lock Danceでよく使われる曲です。
生演奏でここまでのパフォーマンスができるアイザックヘイズ凄すぎます。
Zapp & Rogerの曲はPopで使われることが多いです。
Soul+エレクトロ系のMIXはPopに合います。
40年近く経過しますがいまだにダンスで使われる色褪せない曲です。
Walk This Way
1986年にリリースされたWalk This WayはAerosmithがリリースした代表曲ですが、後にRun-D.M.Cがカバーし全米で大ヒットします。
PVではAerosmithとRun-D.M.Cが共演しており、PVの中で壁を壊すシーンが出てきます。
白人=Rock、黒人=HipHopのような概念をぶっ壊し、差別や垣根を取っ払いLove &Peaceや音楽の素晴らしさを表現しているようなPVです。
いまだに色褪せない名曲ですね。必聴です!
以上がOld Schoolについての解説でした。
今回はこの辺りで、See you next time!!