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ダンスの必修化について【目的・現状・10年経過し見えてきた課題】

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ダンス必修化

2012年に文部科学省が中学校の学習指導要領の改訂を行い、ダンスが必修となりました。

文科省によると、

「創作ダンス」、「フォークダンス」、「現代的なリズムのダンス」で構成され、イメージをとらえた表現や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニケーションを豊かにすることを重視する運動で、仲間とともに感じを込めて踊ったり、イメージをとらえて自己を表現したりすることに楽しさや喜びを味わうことのできる運動です。

文部科学省 武道・ダンス必修化

堅苦しい表現ですが、ダンスを通じて楽しさ喜びを味わえってことみたいです(笑)

改訂以前は『ダンス』『武道』は選択制でしたが、2012年の改訂により""多くの領域の学習体験をさせて自ら適した運動を選択させるため""という大義名分のもと、両方必修となりました。

「現代的なリズムのダンス」いわゆるストリートダンスが生まれた1970年代〜1980年代は、行政や市民から忌み嫌われる存在でしたが、今や学校の必修科目となり市民権を獲得したように感じます。

今回はダンス必修化の背景や、課題について考えたことを書き留めておきます。

ダンス必修の内容

ダンスの歴史書アイキャッチ画像

ダンス必修化の内容ですが、3種類からの選択制になっています。

ポイント

  • 創作ダンス
  • フォークダンス
  • 現代的なリズムのダンス

生徒は上記3つから選択し授業を受けることがマストとなっています。

ダンス必修の内容①創作ダンス

文部科学省の学習指導要領には、

次の運動について,感じを込めて踊ったりみんなで踊ったりする楽しさや喜びを味わい,イメージをとらえた表現や踊りを通した交流ができるようにする。

ア 創作ダンスでは,多様なテーマから表したいイメージをとらえ,動きに変化を付けて即興的に表現したり,変化のあるひとまとまりの表現にしたりして踊ること。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/hotai.htm

このような記載があります。

学習指導要領って、死ぬほど分かりにくいんですね(笑)

創作と名がついているので、クリエイティブ思考を身に付けることにも寄与しそうです。

簡単にいうと、自由に即興で踊れってことみたいです!

ダンス必修の内容➁フォークダンス

文部科学省の学習指導要領には、

次の運動について,感じを込めて踊ったりみんなで踊ったりする楽しさや喜びを味わい,イメージをとらえた表現や踊りを通した交流ができるようにする。

イ フォークダンスでは,踊り方の特徴をとらえ,音楽に合わせて特徴的なステップや動きで踊ること。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/hotai.htm

このような記載があります。

学習指導要領って、死ぬほど分かりにくいんですね(再)

民族的な踊りの理解とか、異性との交流みたいな意味合いが強いのかもしれません。

なぜフォークダンスが選択肢にあるのかはさっぱり分かりません!!爆

ダンス必修の内容③現代的なリズムのダンス

文部科学省の学習指導要領には、

次の運動について,感じを込めて踊ったりみんなで踊ったりする楽しさや喜びを味わい,イメージをとらえた表現や踊りを通した交流ができるようにする。

ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴をとらえ,変化のある動きを組み合わせて,リズムに乗って全身で踊ること。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/hotai.htm

このような記載があります。

学習指導要領って、死ぬほど分かりにくいんですね(再) 『リズムの特徴をとらえ......』リズムの特徴って何wwww

調べてみると、この文章の解釈で色々な議論が巻き起こっており『ストリートダンス派』『ストリートダンスじゃない派』みたいな構図が出来上がっていました。こんな周りくどい文章だったら無理もないです....笑

HioHop踊っとけば問題ないでしょ!!

ダンスはなぜ必修となったのか

ダンスの歴史書アイキャッチ画像

運動神経やリズム感を養うことはもちろんですが、「自己表現能力」「仲間とのコミュニケーション能力」を育むために必修化となりました。

学習指導要領にそう書いてありました....

個人的には「自己表現能力」を身に付けるにはダンスじゃなくてアートでいいし、「仲間とのコミュニケーション能力」を身に付けるためには、他のスポーツでいいと思っています。

なぜ、現代的なリズムのダンス≒ストリートダンスが選ばれたのかを考えてみました。

ストリートダンスの地位が向上し文化となった

1970年代から1980年代にブームを巻き起こすストリートダンスですが、元々はアメリカの貧しいゲットー(スラム)で生まれた文化です。

そのため、暴力・ドラッグなど反社会的な影響を受けて育った文化でもあります。(詳細は→ストリートダンスって何?HipHopとの違いとは?

そういった文化が一般社会に浸透するはずもなく、ストリートダンスはアンダーグラウンドな存在でした。

そんな中、1983年にNew York City Breakersというブレイクダンスのチームが、時の大統領ロナルドレーガンの前でパフォーマンスをしたことがきっかけで風向きが変わります。

その時の貴重な映像があります↓↓

映像の中にはレーガン大統領が楽しむ姿も映っています。

こういったパフォーマンスが徐々に大衆のイメージを変えていき、""ストリートダンスはアングラで怖いもの""というイメージを、""ストリートダンスはかっこいい文化""に変えていきました。

その結果として、ストリートダンスがカルチャーとして認知され、今日のダンスの必修化にも繋がっています。

楽しい・かっこいいが好まれる時代

先ほど記載したように、そもそもストリートダンスはギャング間の抗争を喧嘩ではなくダンスで白黒つけるみたいな、アングラなブラックカルチャーが発祥です。

そのためダンスステップには、

ダンスステップの名前と意味

  • 『アップロック』→お前をぶっ潰すという意味のステップ
  • 『Cウォーク』→喧嘩で勝利し相手の血を利用して地面にCを描くステップ
  • 『ウォーターゲート』→ニクソン大統領を蹴っ飛ばすステップ

このようなステップがあります(笑)

学校の授業には不適切と感じる方も多いと思いますが、今の時代は意味よりも、直感的な楽しさ・かっこよさが好まれる傾向にあります。

TikTokを見ていても意味なんかよりも、楽しそう・かっこいい動画が再生されているのと同じです。

ダンスの必修化は時代のニーズに合ったいい取り組みのように思います。

ダンス必修の現状

ダンス必修化に対するアンケート
ベネッセ ダンス必修化に中学生の7割が「うれしい♪」と回答!より

2012年の少し古いデータなのですが、現場の中学生は7割以上が嬉しいと肯定的です。

今はTikTokなどが流行し、もっとダンスが身近になっており、数値以上に肯定派が増えているように思います。

一方で、先生たちはどうでしょうか?

人前で踊ることがメジャーでなかった時代を生きてきた先生たち......戸惑いも多いでしょう。

はっきりいって、先生より踊りが上手な子供たちはたくさんいます。(笑)

(1)次の運動について,感じを込めて踊ったりみんなで踊ったりする楽しさや喜びを味わい,イメージをとらえた表現や踊りを通した交流ができるようにする。

ア 創作ダンスでは,多様なテーマから表したいイメージをとらえ,動きに変化を付けて即興的に表現したり,変化のあるひとまとまりの表現にしたりして踊ること。

イ フォークダンスでは,踊り方の特徴をとらえ,音楽に合わせて特徴的なステップや動きで踊ること。

ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴をとらえ,変化のある動きを組み合わせて,リズムに乗って全身で踊ること。

(2) ダンスに積極的に取り組むとともに,よさを認め合おうとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。

(3) ダンスの特性,踊りの由来と表現の仕方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。

学習指導要領「生きる力」

おまけに、この学習指導要領で、ストリートダンス教えてはちょっと乱暴な気がします(笑)

これらを解決するには、外部から業務委託のような形で先生を入れるしかないように思います。

ストリートダンスは一朝一夕で上手くなる訳ではないし、先生達も通常業務に忙殺されて休みがなく社会問題にもなっていますよね。

外部の講師を上手く利用して、生徒にもいい授業を、先生たちには負担軽減をしてもらうような環境作りが必要です。

ダンス必修の課題

ダンスの歴史書アイキャッチ画像

個人的にこれは問題だなーと思うことを書き留めておきます!

「現代的なリズムのダンス」の解釈問題

学習指導要領の中に「現代的なリズムのダンス」という漠然とした文言が記載されているだけで、それが何なのかの明記がありません。

HipHopなのか、ブレイクダンスなのか、K-Popなのか、解釈がバラバラになってしまうと声が上がっていました。

確かに「現代的なリズムのダンス」だけでは、解釈が難しいです。学校によって教える内容が変わってくるでしょう。

ただ、個人的にはダンスの指導方法や、ダンスの解釈が変わっただけで進路に何の影響も出ませんよね(笑)

好きにやってしまえばいいんじゃないでしょうか(笑)

生徒と教員のジェネレーションギャップ問題

今の学校の先生は1962年生まれ〜1999年生まれの60歳〜22歳くらいです。

中学生は2008年生まれ〜2006年生まれの13歳〜15歳くらいです。

1962年はビートルズのデビューした年で、2008年はすでにiPhoneが登場しています。

はっきり言って時代が違すぎる(笑)

TikTokをガンガンやっている生徒に、ダンスのダの字も分からない先生が教えるのって無理があるでしょ。(←言い過ぎ!?ww

先生達もプロじゃないし、中途半端なダンスを教えられる子供たちも可哀想だし....

これを機に、本気で外部のダンスの先生とかを業務委託で入れてもいいんじゃないかなと思ったりします。

生徒は質の高い授業を受けられる、先生は負担が軽減する、ダンスの先生は仕事が増える、win-win-winですよね。

お偉いさん、是非ご検討を。

以上が、ダンス必修化についての僕の意見です。

ダンスの楽しさがもっと広がればいいですね♪

それじゃ、See you next time!!

-Ather