ストリートダンスとは、その名の通りストリートで踊られることにより発祥したダンスのことです。
特にアメリカのブラックカルチャーの影響を受けて進化したダンスのことを指します。
実はストリートから派生したダンスは世界中に多く存在し、ブラジルのサンバはストリートで踊りますがストリートダンスとは呼びません。
同じようにニュージーランドのハカも、ラグビー選手が屋外で踊りますがストリートダンスではありませんよね。
線引きが非常に難しいのですが、ストリートダンスは1960年代後期からアメリカで発祥したブラックカルチャーの要素を取り入れたダンスと認識されています。
今回はストリートダンスについてどこよりも詳しく解説し、HipHopとの違いなどについても言及していきます。
ストリートダンスとは?

ストリートダンスとは1960年代後期にアメリカで発祥したブラックカルチャーの要素を取り入れたダンスのことです。
実はそれよりも前に、黒人発祥のダンスは存在していて、Soul、BeBop、Jazzなどのダンスは1940年頃からあったと言われています。
Soul、Jazzをストリートダンスと呼ぶか呼ばないかは微妙で、一般的にはストリートダンスと呼ばない人が多数派のように思います。
Soul、Jazzは確かにブラックカルチャー発祥のダンスですが、現在のストリートダンスのように大きく注目されたり市民権を獲得するまでには成長しなかったため、ストリートダンスと認識されずにそれぞれ固有のジャンルのように認識されています。
また、Jazzやバレーのようなダンスは「アカデミックダンス」と呼ばれ、正統なルールや堅実な継承があり、しっかりと技術が相伝されているダンスです。
一方でストリートダンスは文化という側面が非常に強く、継承などのアカデミックな要素は無く、時代と共に進化するダンスです。
JazzとHipHopを混ぜてJazzHipHopになったり、HipHopにPopを取り入れたり進化が続いていますよね。
ストリートダンスの発祥
ストリートダンスが注目されるようになったのは1960年代です。
その背景には、ブラックミュージックの流行があります。
ブラックミュージックの先駆者
- ジェームスブラウン
- テンプテーションズ
- ジャクソン5
- スティービーワンダー
上記のような黒人歌手が人気を集め、その歌に合わせて踊ることが流行します。
当時はLock・Pop・Breakなどのジャンルの概念は無く、ただ音に合わせて体を動かすことがメインでした。
そして1960年代後期に頃誕生する最初のストリートダンスチームが『The Lockers』です。
彼らはSoulダンスと音楽に合わせて踊る名も無い踊りとをミックスさせLockin'というジャンルを確立します。
これがストリートダンスの起源と言われています。
さらに、黒人のための黒人によるダンス音楽番組『ソウルトレイン』が1971年からスタートし、この番組がストリートダンスを爆発的に世界に広めるきっかけとなりました。
また、これを皮切りにOld Schoolと呼ばれるダンスが次々と誕生し、Popin'の『Electric Boogaloos』Breakin'の『New York City Breakers』『Rock Steady Crew』が頭角を現し、ストリートダンスのジャンルの幅を広げていきました。
ストリートダンスのジャンル

ストリートダンスのジャンルは年々増えていて、その垣根も無くなりつつあります。
代表的なものだけ上記図にまとめましたが、これ以外にもめちゃくちゃジャンルは増えています。
例えばキングタット(King Tut)又の名をエジプシャン(Egyptian)は、昔の人であればPopの中のスタイルみたいな認識だったはずです。
(↓エジプトの壁画を模したダンスのことをキングタットと言います。)

しかし、今はタットだけを極めて1つのジャンルに昇華させているチームもあったりします。
XTRAPさんのパフォーマンス↓を観ればわかるのですが、Popの中のスタイルとは思えないほど進化しています。
このように、年々ストリートダンスのジャンルを区別するのが非常に難しくなってきています。
これもダンスが文化という側面をもち、時代と共に進化する理由です。
ストリートダンスとヒップホップダンスの違い

ストリートダンスとヒップホップダンス違いについて解説します。
上記図で分かるように、
ストリートダンスとヒップホップの違い
- ストリートダンス... ダンスの総称
- HipHop... ストリートダンスの中のジャンルの1つ
このように解釈されています。
ストリートダンスはダンスの総称のような意味合いを持ち、HipHopダンスはストリートダンスの中の1種であり、HipHopというジャンルを表している言葉になります。
Old schoolに分類されるLock・Pop・ Break・Waack
ここからはストリートダンスのジャンルについて簡単に解説します。
まずは1970年代~1980年代に流行したOld Schoolです。
Lock

1960年代後期に産声を上げたLockin’です。
写真の『The Lockers』がオリジネーターとなり、クールとコミカルを取り入れたダンスです。
ピエロのような服装、オーディエンスを楽しませるような振り付けが特徴的です。
日本では『BeBopCrew』がLockin’を広めた第一人者として知られています。
Lockin’の詳細は>>Lock Dance(ロックダンス)ってどんなダンス?を参考にしてください。
Pop

1970年代後期のメリカ・カリフォルニア州のフレズノ地区で誕生したのがPoppin’です。
上記写真の『Electric Boogaloos』により創られたPoppin’で、かっこよさを追求したクールなダンスです。
Electric Boogaloosはマイケルジャクソンの師匠でもあり、世界中にPopin’ブームを巻き起こした偉大なチームです。
日本では『O.G.S』というチームが第一人者としてPoppin'の普及に貢献しました。
Poppin’の詳細は>>Pop(ポップ)ダンスってどんなダンス?を参考にしてください。
Break

Breakin’は1970年代のニューヨークのサウスブロンクス地区で誕生したダンスです。
当時のニューヨークは治安が悪く、暴力・ドラッグ・犯罪が蔓延しており、見捨てられた街と言われていました。
そんな荒んだ街や人々を、ダンスと音楽の力で更生させようとしたのがきっかけで生まれたのがBreakin’でした。
暴力ではなくダンスで白黒決着をつけようと発展したのがBreakin’なので、バトルカルチャー要素が随所に見受けられます。
相手を挑発するステップや、相手よりも凄ければ何でもありみたいな文化も、バトルが起源になっています。
また、服装も特徴的で片足の裾を上げるのは『銃やナイフを持っていない』そんなアピールだったりもします。

アメリカでは『New York City Breakers』『Rock Steady Crew』というチームがオリジネーターとして活躍し、日本では『The Spartanic Rockers』がブレイキンの世界大会で初めて日本に優勝をもたらしたチームですね。
詳しくは>>Break Dance(ブレイクダンス)ってどんなダンス?を参考にしてください。
Waack
Waccking'(ワッキング)≒Punking'(パンキング)と呼ばれるダンスは、1970年代アメリカLAで生まれたダンスです。
黒人のゲイカルチャー発祥のダンスで、アメリカの大人気女優Greta Garbo(グレタ・ガルボ)やMarilyn Monroe(マリリン・モンロー)などのポージングを模倣してこのダンスを創ったと言われています。
黒人男性がより女性的に魅せる為にしなやかな動きを取り入れたり、Lockin’やPopin’のようなカチッとした踊りを無くしたダンスです。
ゲイカルチャー発祥であることと、Waackのオリジネーター(創始者)が次々にエイズで亡くなったことから、1980年代以降は強烈なバッシングを受け、踊り手が減少してしまいます。
この辺りの社会的背景も>>Waack/Punk Dance(ワック/パンクダンス)ってどんなダンス?に詳しく記載しています。
以上の、Lockin’、Popin’、Breakin’、Waackin'がOld Schoolと呼ばれる、1970年代~1980年代に流行ったダンススタイルです。
New schoolに呼ばれるHipHop・House
次に比較的新しい、1980年代後期~現在に至るまでに流行したNew Schoolについて解説します。
HipHop
HipHopは1980年代にアメリカで生まれたストリートダンスです。
HipHopの意味としては、Hip=かっこいい、イケてる Hop=踊る、動くという意味でスラング(俗語)とされています。
この言葉は世界3大DJのアフリカ・バンバータが提唱したといわれており、彼が定めたHipHopは
HipHopとは
- DJ...音楽
- B-boying...ダンス
- Graffty...グラフィックアート
- MC...ラップ
上記4つの概念から構成された文化のことをHipHopと定義しました。
なので厳密にいうとHipHopダンスとはBreakin’のことになります。
しかし、今はそういった解釈はされておらず、HipHopとはHipHopの音楽に合わせて踊る自由度の高い立ち踊りのように解釈されていますね。
詳しくは>>Hip Hop Dance(ヒップホップ)ってどんなダンス?を参考にしてください。
House
Houseは1970年代後期にHouse Musicがフランキー・ナックルズ(Frankie・Knuckles)により創られ、そこから発展したダンスです。
Houseもゲイカルチャーの影響を受けていて、この音楽を作ったフランキー・ナックルズ(Frankie・Knuckles)とラリー・レヴァン(Larry・Levan)もゲイでした。
フランキー・ナックルズ(Frankie・Knuckles)はDJとしてウェアハウスというクラブで活躍しており、その音楽が最高にクールで中毒性があることから、ウェアハウスで流れている音楽=House Musicとなり全米に広がりました。
日本ではTRFのSamさんがHouseダンスを広め、そのサポートメンバーをしていたROOTSが日本のHouseダンスの第一人者です。
詳しくは>>House Dance(ハウスダンス)ってどんなダンス?を参考にしてください。
ストリートダンスは常に進化する
ストリートダンスについて解説をしましたが、今なおストリートダンスは進化を続けています。
例えば先程記載した、Popin’の中のスタイルであったタットが独立したジャンルに昇華したり、同様にアニメーションもPopin’とは異なり独立したジャンルのようになっていますよね。
最近では、VOGUE(ヴォーグ)が進化をしていて、タット+ヴォーグ+ヒップホップみたいな感じになっていてめちゃくちゃかっこよくなっています。
このように、時代とともにストリートダンスは進化をし続けていて、『かっこよく踊れば何でもあり』って感じになっています。
ダンスのドキュメンタリーDVDのMUGENの中で、誠ニさんが『もう新しいジャンルは無いだろう、出てこないだろうと思っても、また新しいかっこいいダンスが出てくるよね』と言っており、長年踊っている誠二さんでも進化が読めないと話していたのが印象的でした。
既に浸透しているダンスを踊るのもいいですが、自分のオリジナリティを追求し唯一無二のスタイルを確立することが、上達の近道だったりします。
有名ダンサーは踊っただけで『あっ、○○さんだ』って分かりますよね。
そういうダンサーを目指して、今日もアイソレから頑張りましょう(笑)
それではこの辺で、See you next time!!